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中川 庸雄; 岩本 修; 長谷川 明
JAERI-Research 2001-059, 84 Pages, 2002/01
マイナーアクチニド核種の中で特に重要なNpとAmについて、JENDL-3.2に与えられている評価済核データを最近の測定データや評価済データと比較・検討を行った。その結果、JENDL-3.2の問題点を抽出し、実験データや最近の評価値をもとにその改善を行った。両方の核種とも、共鳴パラメータ,断面積,角分布,エネルギー分布,核分裂あたりの放出中性子数、などが改良された。データは10eVから20MeVで与え、ENDF-6フォーマットで編集した。
中川 庸雄; 高野 秀機; 長谷川 明
NEA/WPEC-8, p.1 - 116, 1999/00
Np,Am,Am,Cm,Cm,Cm及びCmの評価済データの現状を調査した。これらの核種の断面積データ及び核分裂あたりの放出中性子数について、JENDL-3.2,ENDF/B-VI,JEF-2.2及びBROND-3のためになされた最近の評価値と、Maslov等の評価値、そして実験データを比較した図を示す。また、それぞれの核種について簡単なコメントを付す。JENDL-3.2,ENDF/B-VI,JEF-2.2に与えられているマイナーアクチニドデータのテストのために、PWRの燃焼解析と高速臨界集合体及び加速器駆動炉心のベンチマーク計算を行った。PWRの燃焼では、Pu,Am,Cmの蓄積量のほかは計算と実験値は良く一致した。FCA-IX炉心シリーズにおけるNp,Am,Am及びCmの核分裂率比については、CmとJEF-2.2のAm以外は、5%の範囲で実験値と計算値の一致が見られた。マイナーアクチニド燃料を入れた加速器駆動炉心では、kの計算値に大きな差が見られたが、その原因は核分裂中性子スペクトルと核分裂断面積の評価値の違いにある。
平川 直弘*
PNC TJ9601 98-002, 115 Pages, 1998/03
新しい核燃料サイクルの一つとして考えられているアクチニドリサイクルにおいては、炉心燃料にマイナーアクチニド(MA:Np,Am等)を比較的多く含有することとなるため、これらMAの高速炉の炉心特性への影響を精度良く評価することが不可欠となる。そのためには、正確なMAの核反応断面積が必要である。そこで本研究ではMA核種の高速中性子微分核分裂断面積の測定を実施した。本研究では、まず、高精度で高時間分解能を持つ測定手法の開発を行った。本研究で開発したあるいは実験的な改良を加えたものは以下の通りである。(1)密封型核分裂計数管の開発、(2)Li中性子発生ターゲットの高強度化、(3)飛行時間系測定回路の高時間分解能化、(4)高質量のMA(Np237,Am241,Am243)試料の導入と(5)高純度のウラン試料の導入である。これらの改良された測定装置並びに試料を用いて、本研究では、まず、Np237に対する核分裂断面積測定を実施し、10-100keVの中性子エネルギー領域に対するNp237の核分裂断面積を測定した。さらに、Am241及びAm243については、kt=25.3keVのMaxwell分布を持つ中性子スペクトル平均の核分裂断面積を測定した。
田中 忠夫; 武部 愼一; 小川 弘道; 村岡 進
JAERI-Research 98-018, 20 Pages, 1998/03
六ヶ所村の段丘堆積層から採取した凝灰質砂、砂岩、凝灰岩を対象として、Np(V)及びAm(III)の吸着及び脱離実験を実施し、分配係数を測定するとともに吸着メカニズムについて検討した。Npの分配係数は、pHが高くなるに従って増大する傾向を示したが、共存するNa及びCaイオン濃度の影響はみられなかった。Npの試料への吸着は主として可逆的な吸着メカニズムに支配されているため、Npの移行挙動は分配係数を適用した吸着モデルで予測可能であることを示した。Amの分配係数は、pH7~8で最大となった。また、Na及びCaイオン濃度が高くなるに従って減少した。Amの吸着は非可逆的な吸着メカニズムが支配的であり、Amの移行挙動を高い精度で予測するためには、非可逆的な反応を考慮した吸着モデルの適用が必要であることが示唆された。
田中 忠夫; 村岡 進
JAERI-Research 98-017, 20 Pages, 1998/03
堆積物試料(海岸砂、凝灰質砂、黒ボク土、黄色土、土色土、砂岩、凝灰岩)を対象として、Np(V),Pu(IV)及びAm(III)のバッチ法による吸着実験を実施し、液相中に存在するコロイド状化学種のサイズ分布及び分配係数を測定した。Npの場合、全ての堆積物試料と平衡にある液相中にコロイド状化学種は存在せず、分配係数に地層によるフィルトレーションの効果を考慮する必要はないことが分かった。一方、Amは液相中で0.45mより大きな粒子として存在し、地層間隙にトラップされ固相成分とみなすことができた。Puの場合、試料によって2nmから0.45m以上の様々な大きさのコロイド状化学種の存在が認められた。この結果は、信頼性の高いPuの分配係数を選定するためには、堆積物層間隙を移行可能なコロイドの大きさを把握することが不可欠であることを指摘するものである。
田中 忠夫; 長尾 誠也; 坂本 義昭; 大貫 敏彦; S.Ni*; 妹尾 宗明*
Journal of Nuclear Science and Technology, 34(8), p.829 - 834, 1997/08
被引用回数:15 パーセンタイル:74.05(Nuclear Science & Technology)クロボク土とCo、Sr及びAmの相互作用に及ぼすフミン酸の影響について、フミン酸の分子サイズに着目して調べた。Coの分配係数(K)はフミン酸の共存によってほとんど影響を受けなかったが、SrのKは共存するフミン酸の濃度が高くなるに従って大きくなった。一方、AmのKは、クロボク土に対するフミン酸のKと同様に、共存するフミン酸の濃度が高くなるに従って小さくなった。水溶液中で、Amは分画分子量30,000~100,000のサイズのフミン酸と安定な結合体を選択的に形成したが、Co及びSrは100,000以下のサイズのフミン酸とAmに比べて弱く結合することが分かった。これらの結果から、CoやSrのKは陽イオンとフミン酸結合体の両化学種の収着によって主に支配されるが、AmのKはクロボク土に対するフミン酸の収着及び間隙による機械的な捕獲によって制御されることが示された。
小林 捷平*
PNC TJ9604 97-001, 108 Pages, 1997/03
電子線型加速器と組み合わせて付設された京都大学鉛スペクトロメータKULSについて、まず、その諸特性を求めた:共鳴フィルター法により(1)中性子減速時間t(s)とエネルギーE(keV)の関係(ビスマス孔:E=190/t^2、鉛孔:E=156/t^2)、(2)エネルギー分解能(ビスマス孔、鉛孔共に約40%)、飛行時間分析法により(3)中性子スペクトルを測定した。MCNPコードによる計算結果は、これらの実験値と全体によい一致を示した。次に、このKULSを用いて0.1eVから10keV領域におけるAm-241,Am-243,及びAm-242mの核分裂断面積を測定した。実験には、これらの電着膜とU-235の電着膜をそれぞれ背中合わせにした核分裂電離箱を用意し、測定結果をU-235(n,f)反応の標準断面積に規格化した。Am-241では、Dabbs等の実験値およびENDF/B-VIの評価値は本実験値とよい一致を示したが、JENDL-3.2の評価値は10200eV領域において1.22.3倍低い値を示した。Am-243のENDF/B-VIは1560eV領域で低く、JENDL-3.2は100eV以上の領域で全体に低くなっている。Am-242mに関する予備実験では、ENDF/B-VI、JENDL-32の評価値に近い結果が得られた。また、Am-241,243の熱中性子核分裂断面積についても、標準熱中性子場において測定した。最後に、MAに関する中性子捕獲断面積測定として、Arガス入り比例計数管を用いてNp-237(n,)反応断面積の測定を試みた。本実験では、Np-237試料(2mg)からの中性子捕獲事象の計数率が少なく、バックグランドとの比較において有意な違いは得られなかった。
平川 直弘*
PNC TJ9601 97-001, 51 Pages, 1997/03
新しい核燃料サイクルの一つとして考えられているアクチニドリサイクルにおいては、炉心燃料にマイナーアクチニド(MA:Np,Am,Cm等)を比較的多く含有することとなるため、これらMAの高速炉の炉心特性への影響を精度良く評価することが不可欠となる。そのためには、正確なMAの核反応断面積が必要である。そこで本研究では、MA核種の高速中性子微分核分裂断面積の測定を実施する。本年度においては、昨年度の研究の結果をふまえ、下記の点について、実験的な改良を加えた。(1)密封型核分裂計数管の開発、(2)Li中性子発生ターゲットの高強度化、(3)飛行時間系測定回路の高時間分解能化、(4)高質量のネプチニウム試料の導入と(5)高純度のウラン試料の導入である。これらの改良された測定装置並びに試料を用いてNp-237に対する核分裂断面積測定を実施し、5-100keVの中性子エネルギー領域に対するNp-237/U-235の微分核分裂断面積比及びNp-237の核分裂断面積を測定した。一方、Npと同様に高速炉炉心に大きな影響を持つとされているAm試料に対して、Am-241及びAm-243の核分裂断面積の現状を調査するとともに、両試料を入手し、定量を実施した。
田中 忠夫; 長尾 誠也; 坂本 義昭; 大貫 敏彦; S.Ni*; 妹尾 宗明
放射性廃棄物研究, 3(1), p.41 - 47, 1996/08
0~130mg/lのフミン酸(HA)を共存させた条件下で、HAを良く収着するクロボク土へのCo、Sr及びAmのバッチ法収着実験を行った。また、これら核種と5000~30000、30000~100000及び100000MWの分子量に分画したHAフラクションとの反応性を調べるとともに、これら分画HAの官能基をFTIR及びNMRスペクトルから特定した。Co及びAmの収着平衡定数KはHAのそれより大きく、共存HA濃度が増すに従って小さくなった。一方、SrのKはHAより小さく、共存HA濃度に伴って大きくなった。これら核種は芳香族系のCOOH、OHを主な官能基とする30000~100000MWのHAと優先的に反応し、この分画フラクション中の核種濃度は、収着実験によって選択的に著しく減少した。これは、クロボク土への放射性核種の収着が30000~100000MWのHAによって制御されている可能性を示唆している。
田中 忠夫
Radioisotopes, 45(5), p.293 - 302, 1996/05
土壌に対する放射性核種の分配係数に及ぼす共存フミン酸濃度の影響を定量的に記述するため、フミン酸との錯形成が小さなSrと大きなAmとについて、フミン酸共存下における吸着モデルを提案した。フミン酸を吸着しない砂についてのSr及びAmの分配係数は、液相中でのフミン酸錯体形成のみを考慮した吸着平衡式で評価できた。一方、フミン酸を吸着するクロボク土についての分配係数は、フミン酸錯体の吸着による分配係数の増加の他、フミン酸の吸着によって生じる土壌表面の負電荷密度の増大や吸着サイトの減少などに伴う分配係数の増減効果を考慮した吸着平衡式で記述できることを示した。
田中 忠夫; 妹尾 宗明
Radioisotopes, 44(2), p.99 - 102, 1995/02
限外ろ過法で100000MW以上、30000~100000MWおよび5000~30000MWの分子サイズに分画した各フミン酸フラクションについて、Co及びAmの反応性を比較するとともに、各フラクションが有する官能基をFTIRスペクトル解析で調べた。Coと2Amは30000~100000MWのフミン酸フラクションと優先的に反応することが分かった。FTIRスペクトル解析から、100000MW以上のフラクションは主として脂肪族のCOOH、30000~100000MWのフラクションは芳香族のCOOHおよびOH、および5000~30000MWのフラクションは芳香族のCOOHが支配的な反応性官能基であることが見い出された。CoおよびAmとフミン酸との錯形成能のフミン酸分子サイズ依存性は、各分子サイズのフミン酸が有する官能基の種類およびその官能基周辺で生じる立体障害に起因することが示唆された。